
【書誌情報】
【タイトル】 | 探偵はもう、死んでいる。 |
【レーベル】 | MF文庫J |
【著者】 | 二語十 |
【イラスト】 | うみぼうず |
【ISBN】 | 9784040641966 |
【発売日】 | 2019年11月25日 |
【ページ数】 | 328p |
【あらすじ】
高校三年生の俺・君塚君彦は、かつて名探偵の助手だった。
版元ドットコムより引用
「君、私の助手になってよ」
――始まりは四年前、地上一万メートルの空の上。
ハイジャックされた飛行機の中で、俺は天使のような探偵・シエスタの助手に選ばれた。
それから――
「いい? 助手が蜂の巣にされている間に、私が敵の首を取る」
「おい名探偵、俺の死が前提のプランを立てるな」
俺たちは三年にもわたる目も眩むような冒険劇を繰り広げ――そして、死に別れた。
一人生き残った俺は、日常という名のぬるま湯に浸っている。
……それでいいのかって?
いいさ、誰に迷惑をかけるわけでもない。
だってそうだろ?
探偵はもう、死んでいる。
【おすすめポイント】
1.ヒロインが冒頭から死んでいるという衝撃
本作は、探偵の少女・シエスタと助手の少年・君塚君彦の関係を描いた探偵小説です。
……なのですが、冒頭から衝撃的事実が明かされます。
あらすじやタイトルにも記載があるので紹介しますが、本作は物語冒頭からヒロインである探偵の少女・シエスタが既に『死んでいる』という事実から始まります。
ヒロインが最初から死んでいるなんて、どういうこっちゃ……となる人がほとんどかと思いますが、これが本作の物語を構成する上での重要な鍵となります。
シエスタはどうして死んでしまったのか。そして本作の主人公であり、シエスタの助手だった少年・君塚君彦は何を思いながら、彼女のいない日々を過ごしていたのか。
そして、数奇な運命に翻弄される彼は、とある少女との新たな出会いにより、止まっていた探偵の物語はまた動き出してきます。
その事実を知った時には、読者である皆さんは必ず胸を熱く打たれることでしょう。
感情が常に揺り動かされ、怒涛の展開によって物語に没入すること間違いなしです。
2.ジャンルの枠に囚われない、新時代の探偵小説
本作には、明確なジャンル分けというものができないという特徴があります。
物語の主軸は探偵小説なのですが、それだけではありません。
ボーイミーツガールでもあり、ラブコメでもあり、SF小説でもあり、ファンタジー小説でもある。さらにはバトル要素まで——といったように、ライトノベルにおける様々なジャンルのいいところ全部がこちらの作品一つに凝縮されて盛り込まれています。
ですが、そこでどっちつかずのごちゃまぜで闇鍋なゲテモノ作品になっていないのが本作です。
全ての要素が歯車のように噛み合い、満漢全席のような超豪華な作品へと仕上がっているのです。
さらに、探偵小説・ミステリー小説は、一般的に硬派で気難しい要素多めになりがちな印象があり人を選ぶジャンルではありますが、本作は上であげたようにオールジャンル要素を盛り込むことにより非常に読みやすく、それであり伏線回収まで綺麗というまさに完璧な構成であり、ライトノベル初心者の方でもおすすめできる作品となっています。
新時代の探偵小説、ぜひその目でご一読ください。
【好みが分かれるポイント】
ミステリーな探偵小説ではないので注意
タイトルなどから、叙述トリック満載なミステリー探偵小説と思って購入してしまうと、少し見劣りしてしまう可能性はあります。
本作は、物語で登場してくる敵が人間ではなく、改造人間などのSFファンタジーな世界観であることや、ヒロインが完全にラブコメヒロインしていることから、純粋にライトノベル・キャラクター小説として面白さを追求した作品となっています。
気難しい印象を受けるがために、あまり探偵小説というジャンルに手を出したことがない&出せなかったユーザー向けの入門書的作品となっていますので、その点だけは自分の作品に求める方向性と相談の後購入を検討してみてください。
作品の内容に対し疑問を抱く方にはぜひホームページや各種販売サイト・書店店頭にて試し読みしていただけたらと思います。
【個人的作品評価】

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