【ラノベ作品紹介】妹さえいればいい。

【書誌情報】

タイトル妹さえいればいい。
レーベルガガガ文庫(小学館)
著者平坂 読
イラストカントク
ISBN9784094515077
発売日2015年3月18日

【著者・イラストレーター紹介】

【著者】平坂 読 先生

刊行ライトノベル作品

・ホーンテッド!(MF文庫J)

・僕は友達が少ない(MF文庫J)

・〆切前には百合が捗る(GA文庫)

 など

【イラスト】カントク 先生

イラスト担当ライトノベル作品

・変態王子と笑わない猫(MF文庫J)

・メルヘン・メドヘン(ダッシュエックス文庫)

・そんな世界は壊してしまえ -クオリディア・コード-(MF文庫J)

 など

【あらすじ】

「アマゾンレビューは貴様の日記帳ではない!」

 荒ぶる小説家・羽島伊月は、未だ見ぬ究極の妹を創造すべく日夜奮闘する現代のピグマリオンである。彼の周りには、作家やイラストレーターや編集者や税理士など個性的な人々が集まっている。愛も才能もヘビー級、残念系美少女のハイエンド・可児那由多。恋に悩み友情に悩み夢に悩む青春三冠王・白川京。闘志を秘めたイケメン王子、不破春斗。人生ナメてる系天才イラストレーター・ぷりけつ。頼れるけど頼りたくない鬼畜税金セーバー・大野アシュリー。闇を抱えた編集者・土岐健次郎――。
それぞれ迷いや悩みを抱えながらも、ゲームをやったり旅行に行ったりTRPGをやったり、たまには仕事をしたりと、賑やかで楽しい日常を繰り広げる伊月たち。そんな彼らを温かく見守る完璧超人の弟・千尋には、ある重大な秘密があって――。

 各界から絶賛の声多数(本当)! 『僕は友達が少ない』の平坂読が放つ、日常ラブコメの到達点にしてライトノベル界の現実を赤裸々に晒す衝撃作。言葉の鋭刃が今、世界と担当編集の胃に穴を穿つ――!!!!

版元ドットコムより引用

【おすすめポイント】

1、笑いあり、苦悩ありの、まさに『人生』そのものを描いた大作

 この作品は、基本的には主人公伊月と友人たちとの日常を描いたお仕事もの作品なのですが、『作家』という仕事・人生というものに関する現実味が随所にとてつもなくあります。

 作家と編集者の作品に対する対立、自分の生み出した作品の評判に一喜一憂する姿、コミカライズ・アニメ化、税金関係などなど……実際に経験している作家自身が書くからこそのリアルさなのでしょう。

 おそらく、平坂先生自身の作家としての経験談も混じっているのだと思います。

 いつもはおちゃらけた様子の登場人物たちも、自分の作品・夢など目の前にあることに対しては全力です。うまくいけば全力で喜びをあらわにし、うまくいかなければ落ち込む。心が折れそうになることもあれば、全力だからこそ怒りもあらわにする。

 彼らはまるで、そこに本当に生きているかのように思えるくらいに、とても、暴力的なまでに、人間らしいです。

 そんな毎日を全力に生きる彼らの人生観は、私たちにもっと毎日を頑張って生きようと大いに感じさせることでしょう。

2、個性的な友人・作家仲間と繰り広げる、まるで現実のような日常

 いつも賑やかな羽島伊月という作家の日常を見れるのも、本作の面白いポイントの一つです。

 彼の周りには、いつも作家仲間や友人が集まってきて、ゲームをしたりご飯を食べたりと何気ない日常を過ごしています。

 それは、本来ある平和な日常そのもの。

 ですが、その何気ない日常というものを描くことが、小説においてどんなに難しいことなのか考えたことはあるでしょうか?

 常に物語というものはどこか頭の片隅にフィクションであるという考えがよぎるものであり、日常風景でさえ現実味がないものになりがちなのです。ご飯を食べている会話一つとっても、作られた会話文にキャラクターが喋り、物語にそって動いているとどこか思えてしまう。それがフィクションの常。

 ですが本作は違います。

 ご飯をただ食べるシーンだけとっても、ゲームをただしているだけのシーンをとっても、キャラクターが頭の中で動いて見えるのです。

 素直に、無遠慮に、ある時は淡々と、本来しているであろう私たちの何気ない会話の一部分を切り取ったかのように書く会話は本当に現実味にあふれており、まるでそこにいるかのような錯覚さえも感じさせます。

 この作品を読んだ後は、伊月たちのような波乱万丈に満ちた楽しい毎日を送りたい。そう誰もが思えるはずです。

【好みの分かれるポイント】

1、(いろんな意味で)著者の作品の癖が強すぎる

 唐突ですが、これは『平坂 読』という作品です。

 何を言っているか分からない人が大多数だと思いますが、前作の『僕は友達が少ない』を読んでいる人なら分かってもらえると思います。

 

 つまり、そういうことです。

 

 これが、いい意味でも悪い意味でも賛否両論分かれます。(次に続く…)

2、下ネタ・パロネタ・その他マニアックな要素が山盛りてんこ盛り

 サブタイトルの通りですが、下ネタ・パロネタ・マニアックネタ(その他もろもろ)な要素が本作にはとても多いです。

 

 著者の好きなもの・趣味、全部を詰め込んでます。

 

 正直、綺麗な文体や作風の作品が好きな方には向かない作品だと思います。
(特に、1巻冒頭の暴走具合でリタイアしてしまう人が続出します)

 私も正直冒頭でリタイアしかけました()

 過度な下ネタ以外にも、他作品のパロネタ(有名セリフなど)や、友人同士で『TRPG』をするシーンなど、やらない人にとってはよく分からないとも思えてしまうシーンなどにも多くページをさいており、人によってはそこで飽きてしまうかもしれません。

 これも、友人同士の仲の良さだったり、何気ない『日常』を描くためなのですが、平坂先生自身の趣味が反映されすぎていて、一部の読者を置いていってしまっている感も少なくありません。

 ヒロインの那由多も、なかなかぶっ飛んだことを平気で言ったり行動に移したりと、正直現実にいたら相当な変人・変態です。普通に、初見は引くと思います。。。

 でも、ある意味では平坂先生にしか書けない文章・濃すぎるキャラクターとも言えます。

 こんな個性の強すぎるキャラクターたちを物語の主軸を破綻させずに書ききるのは、本当に平坂先生の才能であるとしか言えないです。

 作品としては非常に面白いのですが、好みがかなり分かれることでしょう。

【まとめ】

 お仕事ものラノベとしては、とても完成度の高い一冊だと思います。

 ライトノベル作家である著者が描く、作品締切や税金関係などリアルな作家事情を、個性的なキャラクターを動かすことで過度に難しくなりすぎずコミカルに描いた本作は、まさにお仕事ものラノベの上位に位置づけする面白さを確かに持っています。

 そして最後には、伊月たちのようなライトノベル作家になりたいと多くの読者に思わせることでしょう。私も、本作を読んでライトノベル作家になりたいと思いました。

 そして、本作のキーとなる『』、そして『主人公』という言葉の意味。

 読み進めるうちに、この言葉の意図する本当の意味が分かることでしょう。

 ぜひ、平坂読ワールド満載の本作をお楽しみください。

 

 『妹さえいればいい。』は全14巻でガガガ文庫より発売中です。

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