【ラノベ感想・レビュー】ギルドの受付嬢ですが、残業は嫌なのでボスをソロ討伐しようと思います

【書誌情報】

タイトルギルドの受付嬢ですが、残業は嫌なのでボスをソロ討伐しようと思います
レーベル電撃文庫(KADOKAWA)
著者香坂マト
イラストがおう
ISBN9784049136883
発売日2021年3月10日

【著者・イラストレーター紹介】

【著者】 香坂マト 先生

 第27回電撃小説大賞 【金賞】 受賞 

刊行ライトノベル作品

・ギルドの受付嬢ですが、残業は嫌なのでボスをソロ討伐しようと思います【電撃文庫】

【イラスト】 がおう 先生

イラスト担当ライトノベル作品

・3年B組ネクロマンサー先生【GA文庫】

・かみこい!【GA文庫】

・100円ショップ店員が異世界トリップした結果。【HJ文庫】

など

その他活動

ホロライブ所属Vtuber「湊あくあさんのキャラクターデザイン担当

【あらすじ】

 デスクワークだから超安全、公務だから超安定! 理想の職業「ギルドの受付嬢」となったアリナを待っていたのは、理想とは程遠い残業三昧の日々だった。すべてはダンジョンの攻略が滞っているせい! 限界を迎えたアリナは隠し持つ一級冒険者ライセンスと銀に輝く大槌(ウォーハンマー)を手に、自らボス討伐に向かう――そう、何を隠そう彼女こそ、行き詰ったダンジョンに現れ、単身ボスを倒していくと巷で噂される正体不明の凄腕冒険者「処刑人」なのだ……!
 でもそれは絶対にヒミツ。なぜなら受付嬢は「副業禁止」だからだ!!!! それなのに、ボス討伐の際に居合わせたギルド最強の盾役に正体がバレてしまい――??
 残業回避・定時死守、圧倒的な力で(自分の)平穏を守る最強受付嬢の痛快異世界コメディ!

 第27回電撃小説大賞《金賞》受賞作!

版元ドットコム様より引用

【作品解説】

 主人公の『アリナ』は、給与待遇安定・安全を求めて、公務であるギルドのクエストカウンターの受付嬢として勤務しています。

 定時退社できる夢の日々が待っている——と思いきや、実際は違っていました。

 

残業

 

 すべては、この忌み嫌われし言葉によって。

 

 ダンジョン攻略に行き詰まると、受付嬢には残業地獄が待っているのです。

 この世界の設定として、フロアボスモンスターの周りには常に魔物が集まってくる習性があります。

 そのため、ダンジョン攻略に行き詰まると、ダンジョンにモンスターがどんどん集まっていき、ギルドからひっきりなしにモンスターの討伐クエストが量産されます。

 すると数多の冒険者たちは、今のうちに稼げるだけ稼ごうとクエスト受注をしようとカウンターは長蛇の列に。

 そして、それらを捌くのは、全てクエストカウンターにいる受付嬢の仕事……というわけで。

 

 つまり、ボスを討伐しない限り、無限に残業する羽目になるのです。

 そんな残業ライフから開放されるため、アリナには隠された裏の顔がありました。

 

 偽造一級冒険者ライセンスを持つ、凄腕冒険者処刑人としての顔が。

 

 大槌片手に行き詰まったダンジョンにふらっと現れては、攻略に行き詰まったフロアボスをワンパンして帰ってくる。

 そんな謎の人物を、冒険者たちは『処刑人』と呼んでいるのです。

 ですが正体はというと、ただ残業したくないという私欲満載な理由のためだけに動いた、ただの受付嬢。

 そんな彼女は、受付嬢は副業禁止という理由のため正体を隠し続けていましたが、ある日ギルドの最強パーティ『白銀の剣』の盾役(タンク)をしている冒険者『ジェイド』に正体を見破られてしまいます。

 

 そこから始まる、受付嬢という仕事を守るための波乱に満ちた日々が、こちらの作品です。

【おすすめポイント】

1、主人公の共感性が非常に高い

 本作の世界観やキャラの設定には、異世界もの・クエスト・冒険者・受付嬢——と見知った要素が多く、特に目新しい要素はないように一見感じます。

 ですが、そのありふれた設定を人気であるテンプレートとして作品に加えつつも、主人公の受付嬢であるアリナ魅力・共感性というものについては、他作品を圧倒するほどの力が本作にはあります。

 

 それは、『残業をしたくないから頑張る』というもの。

 

 これは、現代における社会人なら誰しもが思うことなのではないでしょうか?

 

(定時で帰りたい。早く帰って家で好きなことをしたい……)

 

 そんな誰しもが思うであろう欲望を、異世界という現代とは異なる舞台でテーマとして扱っているというのが本作を面白くしているポイントです。

 さらに、本作のファンタジー異世界での仕事形態を現代として置き換えるとしたら、おそらくこうなるでしょう。

 

時間の決まった勤務・安定した給与の受付嬢
→現代における『会社員

危険を伴う仕事・出来高性の不安定な給与・安定しないためローンなども組みにくい冒険者
→現代における『自営業』・『フリーランス

 

 つまりは、主人公は安定至高な受付嬢会社員)を求めているということですね。

 安定しないからと、本来は実力がありつつも冒険者フリーランス)を選ばないのも納得できます。

 そんな彼女の残業をしたくないと思う考え方や、素直すぎる言動には妙にリアルさが感じられ、現代での生活に疲れたほとんどの社会人があるあると共感すること間違いないことでしょう(仕事大好きで熱心なビジネスマン除く)

2、異世界コメディ作品として、非常に完成度が高い

 コメディ系のライトノベル作品としては、キャラ同士の会話・掛け合いに程よく笑え、なおかつ感情を揺れ動かすようなストーリーも散りばめられており、作品としての完成度は非常に高いと思いました。

 個人的な話にはなるのですが、コメディ系の作品でも正直下ネタとかそういう感じのちょっとはしたない感じな笑いがある作品は少し苦手分野でございまして、相対的に個人的な評価は低くなりがちなのです。

 しかし、この作品は下ネタや下卑たキャラ性で笑わせてくるのではなく、単純にキャラ同士の本音がぶつかりあう掛け合いが非常に面白いです。

 全てに対して素直に発言していく己の欲望に忠実な主人公アリナと、絶対に食い下がろうとしない最強パーティの盾役(タンク)であるジェイドとの噛み合わない会話には、思わず笑ってしまいました。

 

 他作品で要約するなら、少しシリアス要素のある、綺麗な『この素晴らしい世界に祝福を!』という感じでしょうか……?

 つまりは、とっても面白いです。

【まとめ】

 総評すると、とても面白い作品だと思いました。

 流行りの要素を作品の根底として置きつつも、作品独自の要素として残業したくないから受付嬢が圧倒的パワーで無双するという要素が目新しく、非常に爽快感に満ちていました。

 か弱い女の子がごついハンマーをふるうとか、もう面白くないわけがありません。

 また、1巻時点では、多少主人公以外のキャラ描写・バックグラウンドに描写不足な点も見受けられました。

 しかし、続刊ありきな作品の閉め方をしていたので、のちのちこれらは明らかになっていくものだと思われますので、特に気になりませんでした。

 新作としては、非常に楽しめる作品に仕上がっていたと思います。

 

 異世界ものが好きな方無双系作品が好きな方コメディ作品が好きな方

 

 残業が嫌いな社会人

 

——などにおすすめできる作品となっております。

 

 ぜひ本作が気になった方は、ご購入を検討してみてください。

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